画面の向こうに広がるのは、5人の少女が命を落とした火災事故の記録――。
『Project:;COLD case.mirage』は、すべての謎解きをPCの画面上だけで完結させるデスクトップ探索型の本格ミステリーアドベンチャーです。
プレイヤーは記憶を失った主人公となり、デスクトップに突如現れた謎の少年「イオリ・ハートフィールド」に導かれながら、とある未解決事件の再調査へ乗り出します。
調査の対象となる5人の少女たちは、可愛らしい見た目とは裏腹に、全員が一癖も二癖もある人物ばかり。彼女たちのスマホを覗き見たり、デジタルの尋問で矛盾を暴いたりしながら、心の深層に隠された裏の顔に迫っていきます。
複雑なアクションや難しい操作は一切なく、クリックや文字入力といった基本的なPC操作だけで進められるため、普段あまりゲームを遊ばない方でも安心して没頭できるのが大きな魅力です。
画面の向こうに眠る真実を暴き、彼女たちの“運命”を変えることはできるのか――。じっくりと推理や考察を楽しみたい方にぴったりの一作です。

『Project:;COLD case.mirage』の基本情報
ジャンル:アドベンチャー
対応プラットフォーム:Switch、PC(Steam)
Steam価格: ¥2,970(税込) セール時 ¥1,989(税込)等
プレイ時間:(初回クリア想定)約7時間
難易度:★★★☆☆ 操作自体はシンプルで、謎解きも手がかりをしっかり追えば解けるバランスです。ただし、一部「どこを調べればいいか(チェックすべき場所)」が少し分かりづらい場面があります。
『Project:;COLD case.mirage』の特徴、魅力
デスクトップをフル活用する多角的な調査システム
『Project:;COLD case.mirage』最大の特徴は、事件の手がかりがすべてPC画面(デスクトップ)上に集約されている点です。 プレイヤーは様々なツールを駆使し、まるで本物の事件捜査を行っているかのような感覚で推理を進めることができます。

監視カメラや音声データの解析
事件現場となった「蜃気楼の森」に残されていた監視カメラ映像や音声記録を解析。 一見すると何気ない写真や音声の断片から、現場で実際に何が起きていたのか、その時系列と状況を論理的に組み立てていきます。

デジタル再現された少女たちへの「事情聴取」
本作では、事件の鍵を握る少女たちの「顔写真」と「音声データ」を基に、デジタル空間へ彼女たちの姿を復元して対話(事情聴取)を行います。
集めた情報をもとに証言の矛盾を突き、逃げ場のない核心的な証拠を突きつけて真実を暴き出していく駆け引きが非常にスリリングです。 特に、少女たちの細かな表情の変化や動揺する仕草がハイクオリティな3Dグラフィックで表現されており、心理戦の臨場感をぐっと引き立ててくれます。

スマホの覗き見調査
被害者たちのスマートフォンに直接アクセスし、内部の個人情報を調査します。 友人同士の赤裸々なトーク履歴、SNSのやり取り、事件直前の行動ログなど、生々しいプライベートな痕跡から事件の裏側にある人間関係や秘密を浮き彫りにしていきます。

キーワード検索によるブラウジング
調査を進める中で手に入れた「検索ワード」を組み合わせ、ゲーム内のWebブラウザで情報収集を行います。 ニュース記事やネットのまとめサイト、個人ブログなどをネットサーフィン感覚で巡り、事件に関連する思わぬ手がかりや裏付けを拾い集めていく楽しさがあります。

総合評価
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| ストーリー | ★★★★☆ |
| キャラクター | ★★★★★ |
| 推理要素 | ★★★★★ |
| 遊びやすさ | ★★★★☆ |
| コストパフォーマンス | ★★★☆☆ |
| おすすめ度 | ★★★★☆ |
ストーリー:全体として非常に引き込まれる完成度の高いシナリオです。リアルなPC操作で進める緻密な調査パートに対して、一部現実離れしている部分が含まれるため、人によってはリアリティの面で少しギャップを感じる場面があるかもしれません。とはいえ、全体の完成度を損なうものではなく十分に楽しめたため「4」としました。
キャラクター:事件に関わる登場人物たちの心の深層まで丁寧に描かれており、物語が進むほど愛着や深みが増していきます。3Dモデルのクオリティも非常に高く、表情や仕草の変化による心理描写がとても魅力的に映えたため「5」としました。
推理要素:少女たちの証言の矛盾に証拠を突きつける心理戦から、スマホのパスワードを割り出すためにWebを検索して情報を集める作業まで、アプローチの異なる多彩な推理が用意されており最後まで飽きずに楽しめたため「5」としました。
遊びやすさ:直感的な操作感で難しいアクションもなく、全体としては非常に親切で遊びやすい作りです。ただ、スマホを調査する場面において一部情報やフラグの回収手順が少し分かりづらい箇所が見受けられたため「4」としました。
コストパフォーマンス:クリアまでのボリュームは約7時間程度で、価格は2,970円とインディーミステリー作品としてはやや強気な設定に感じられます。作品の質自体は高いものの、同ジャンルの他作品とプレイ時間の面で比較すると少し割高感があるため「3」としました。
おすすめ度:価格面でのハードルはややあるものの、テンポの良いストーリー展開、魅力的なキャラクター、そして歯ごたえのある推理要素が見事にまとまった良作です。総合的な満足度が非常に高かったため「4」としました。
⚠️ここから先は『Project:;COLD case.mirage』の攻略やエンディング・真相に関する重大なネタバレが含まれます!未プレイの方は絶対にブラウザバックしてください!⚠️
【ネタバレ有】5人の少女が抱えた傷と、事件の真相
悲劇に巻き込まれた5人の少女たち――抱えていた「傷」と「弱さ」
本作で描かれる事件は、少女たちが抱えていた過去の傷や秘密が複雑に絡み合い、連鎖するように発生していました。彼女たちは決して根っからの悪人ではなく、それぞれが切実な弱さを抱えた心優しい少女たちでした。
吉永瑠奈(よしなが るな)
事件の主犯格として4人の秘密を暴露・脅迫していた少女。周囲から「少し変わった人」として扱われることに孤独を抱えており、病室を抜け出していた如月嶺衣奈と出会って深く意気投合します。嶺衣奈が持ちかけてきた恐ろしい「儀式」を本心では拒絶したかったものの、余命わずかな嶺衣奈の病状を知っていたため強く断り切れず、取り返しのつかない悲劇へと巻き込まれていきました。

風張美聡(かざはり みさと)
将来を嘱望される棋士。「絶対に勝たなければならない」という重圧に耐えかねて過去に一度だけ八百長に手を染めてしまい、それを瑠奈に脅迫されて日下部祥子と共に瑠奈の殺害を計画。その後、共犯関係が露見することを恐れて祥子をも手にかけてしまいます。しかし普段の彼女はボランティア活動に熱心に参加するなど、誰よりも誠実で心優しい少女でした。

日下部祥子(くさかべ しょうこ)
過去のいじめ事件の被害者。「自分が克服したことで別の生徒にいじめの矛先が移った」とされ、その生徒の遺書に名前を書かれてしまったトラウマを抱えています。その過去を瑠奈に暴露されそうになり、平穏な日常を守るために凶行へと走ってしまいました。常に「自分は被害者だ」という防衛本能に囚われていましたが、過去の呪縛さえなければもっと明るく笑えていたはずの少女です。

墨田季楽々(すみだ きらら)
口が悪く荒っぽい性格で、弟のために「金のためなら何でもする」と割り切り、オフ会で金品を盗もうとすら画策していました。しかし彼女の理念として「復讐や他者を理不尽に傷つけること」には絶対に加担せず、根は誰よりも弟思いの優しい少女でした。

花崎薫(はなざき かおる)
ボーイッシュで強い正義感を持つ少女。犯罪行為に一切関わっていないため巻き込まれた感が強かったです。親しい祥子の異変にいち早く気づき、常に周囲の仲間を気遣っていました。その優しさは本物で、後のハッピーエンド後のやり取りでは愛らしい天然な一面も見せてくれます。

事件の全貌と「蜃気楼の森」で起きていたこと
調査が進むにつれ明らかになるのは、主犯に見えていた瑠奈ですら操られていたという事実、そしてあまりにも残酷な「死体のすり替わり」でした。
事件の黒幕は、主人公・叶羊(かのう よう)の妹である如月嶺衣奈(きさらぎ れいな)。
重い病を患い余命わずかだった嶺衣奈は、「死にたくない」という生への執着からオカルト的な儀式に縋り、5人の少女を生贄にして「瑠奈の肉体を器(聖女)として生き延びる」という狂気の計画を立案します。

そして迎えた事件当日、嶺衣奈は「6人目の参加者」として現場の蜃気楼の森へ赴き、なんと最初の犠牲者である“吉永瑠奈”になり代わって自ら毒死したのです。
物語の序盤、監視カメラ映像に映っていた「毒殺された吉永瑠奈」の正体こそが、実は如月嶺衣奈その人でした。
その後、生き残っていた本物の瑠奈は儀式を完了させるために現場へ火を放って脱出。しかし、妹・嶺衣奈の死を知った主人公・叶羊によって、後日「復讐」として刺殺されてしまいます。
叶羊が記憶を失っていたのは、妹を失った絶望と、自らの手で瑠奈を殺めてしまったという耐え難い罪による叶羊自身が服用した毒の副作用によるものでした。

犯行の裏に隠されていた真の動機
すべてを仕組んだ黒幕・嶺衣奈ですが、彼女をここまでの凶行に走らせた本当の動機は、決して生への執着だけではありませんでした。
根本にあったのは、「誕生日のあの日、大好きなお兄ちゃんが病室に来てくれなかった」という、あまりにも切ない孤独と哀しみでした。
ほんの少しのボタンの掛け違い、ほんの紙一重のすれ違いが彼女の心を絶望で塗りつぶし、凄惨な儀式計画へと駆り立ててしまったのです。

事件の結末と迎えたエンディングについて
この救いようのない連鎖を断ち切ったのが、過去を改変するためのプログラム「銀の弾丸(シルバーバレット)」でした。
過去への干渉を可能にするこの力を用いて、叶羊は運命の分岐点である「嶺衣奈の誕生日」へ介入します。
かつては病室の扉を固く閉ざしていた嶺衣奈でしたが、スマートフォンを通じて『みやまん』の音楽を響かせることで、「お兄ちゃんが病室の外に来てくれている」と気づかせることに成功。扉は開かれ、叶羊は妹のために自作したゲームを無事に手渡すことができました。

お兄ちゃんとの約束が果たされたことで嶺衣奈の孤独は癒やされ、儀式も、火災事故も、瑠奈への凶行も、「そもそも誰も罪を犯さない世界線」へと運命が塗り替えられたのです。
過去改変による解決は一見すると強引な展開にも思えますが、調査を通じて心の傷や優しさを知り、心から好きになった少女たちが全員幸せそうに笑い合っている姿を見届けられた瞬間は、救われた気持ちで胸がいっぱいになりました。ハッピーエンドが好きな自分にとって、本当に心から「よかった」と思える結末でした。
なお、主人公を導いた謎の少年「イオリ」は「瑠奈を救うために動いている」と語ったものの、その正体や詳しい背景は作中では明かされませんでした。今後、彼らの物語をさらに深く知る機会が訪れることを楽しみに待ちたいと思います。

まとめ
『Project:;COLD case.mirage』は、PCのデスクトップ画面をフル活用したリアルな捜査体験と、少女たちの繊細な心理描写が光る本格推理アドベンチャーでした。
約7時間・約3,000円というボリューム面では少し割高に感じるものの、表情豊かな3Dモデルとの尋問やブラウジング調査など、没入感と満足度は非常に高いです。ほんの少しのすれ違いから生まれた悲劇の先にある結末には、胸を打たれました。
なお、本作の少女たちは、2024年にYouTubeやXで展開された視聴者参加型のデスゲーム生配信『ALTÆR CARNIVAL』と同じキャラクターです。公式によると、こちらは本作の少女たちの「別世界線のお話」にあたります。本作で彼女たちを好きになった方は、あわせてチェックしてみてください。

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ちなみに、まとめ記事の中でも直近で個人的に一番ヒットだったのが『魔法少女ノ魔女裁判』です!
Steamで「圧倒的に好評」を獲得した超濃厚なデスゲーム×ミステリーなので、絶望的な展開や考察が好きな方はぜひチェックしてみてください。
