死を繰り返す少女の正体とは?笑いと恐怖の先に待つ、見事な伏線回収
「死因も未練も分からないまま、何度も“死”を繰り返す幽霊の少女」――。
そんなショッキングで引き込まれる導入から始まるビジュアルノベルゲーム『久我山栞の死様手帖』をクリアしました。
本作は、記憶を失った霊「久我山栞」と、彼女と唯一言葉を交わせる生者である“あなた”が、彼女の死因と真相を追うオカルト・ミステリーアドベンチャーです。
「死」をテーマにしておりショッキングな場面も登場しますが、幽霊ゆえの痛快さやユーモアを交えたコミカルな掛け合いも多く、重すぎず軽快に読み進められる絶妙なバランスに仕上がっています。
魅力的なビジュアルとフルボイスで紡がれる物語は、選択肢を選ぶシンプルなノベル形式ながら、散りばめられた謎を解き明かしていくミステリー好きにもたまらない内容でした。
今回は、約10時間じっくりと浸れる良作『久我山栞の死様手帖』の魅力や見どころを、ネタバレなしでご紹介します!
『久我山栞の死様手帖』の基本情報
ジャンル:アドベンチャー
対応プラットフォーム:Switch、PC(Steam)
Steam価格: ¥3,400(税込) セール時 ¥2,380(税込)等
プレイ時間:(初回クリア想定)約10時間
難易度:★★☆☆☆ 推理要素はそこまで強くないですが、正しい選択肢やルートを選ぶ必要がある場所があります。
『久我山栞の死様手帖』の特徴、魅力
成仏のために“死”を繰り返す!? 斬新で引き込まれるストーリー
記憶を失い、成仏するために何度も自殺を繰り返す幽霊の少女「久我山栞」。このショッキングで突拍子もない、しかし強烈に引き込まれる導入から物語はスタートします。 唯一彼女と意思疎通ができる生者である“あなた”は、度々出現する選択肢を通じて彼女の死因と未練、そして失われた記憶を探っていくことになります。

次々と現れる謎や、選択によって思いがけない結末へ分岐するマルチエンディングなど、最後まで「真相はどうなっているのか?」と考察しながら読み進められる完成度の高いシナリオが魅力です。結末の着地も非常に美しく、深い余韻を残してくれます。
美麗なビジュアルとフルボイスで描かれる、一癖も二癖もあるキャラクター
本作の大きな魅力の一つが、ハイクオリティなキャラクターデザインと美麗なイラスト、そして没入感を高めてくれる贅沢なフルボイスです。
ヒロインの栞はもちろん、物語の調査の中で出会う霊や関係者たちは、誰もが一癖も二癖もある個性的な面々ばかり。第一印象とは異なる意外なギャップを持ったキャラクターも多く、良い意味でプレイヤーの予想を裏切ってくれます。

「死」や「オカルト」を扱いながらも重すぎない絶妙なバランス
タイトルの通り「死」をテーマにしており、作中では様々なバリエーションの“死に様”が描かれます。しかし、幽霊ならではの痛快さやユーモアを交えたコミカルな掛け合いが多く、決して重く暗いだけの作品ではありません。
都市伝説やオカルト談義も多数盛り込まれており、ホラーとしてのしっかりとした「怖さ」と、思わずクスッと笑ってしまう「面白さ」が絶妙なバランスで共存しています。「都市伝説図鑑」などのアーカイブを収集していく楽しさもあり、オカルトやミステリー好きにはたまらないエンターテインメント作品に仕上がっています。
快適なシステムと配慮の行き届いた「表現フィルター」
ノベルゲームにおいて重要なシステム面も非常に快適です。通常のスキップ機能に加え、「次の選択肢に進む」「前の選択肢に戻る」といった便利な機能が標準搭載されているため、選択肢の選び直しやマルチエンディングの回収がストレスフリーで行えます。
また、一部のショッキングな描写や流血表現が苦手な方、あるいは動画配信向けに、血の色をポップな色に変更できる「表現フィルターモード」も備わっています。プレイヤーへの配慮が行き届いた親切な設計により、純粋に物語の謎解きに没頭できる環境が整っている点も高評価です。
総合評価
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| ストーリー | ★★★★★ |
| キャラクター | ★★★★★ |
| 推理要素 | ★★★☆☆ |
| 遊びやすさ | ★★★★★ |
| コストパフォーマンス | ★★☆☆☆ |
| おすすめ度 | ★★★★☆ |
ストーリー:成仏するために自殺を繰り返す幽霊との出会いという、突拍子もない導入から一気に引き込まれました。彼女の記憶を取り戻す過程はもちろん、結末の着地や締めくくり方も非常に美しく余韻が残るものだったため「5」としました。
キャラクター:キャラクターデザインと美麗な絵柄が本当にツボでした。ヒロインの久我山栞をはじめ、登場人物たちも一癖も二癖もある魅力的な面々ばかりで、どの幽霊にも現世に縛られるだけの納得のいく事情が丁寧に描かれていたため「5」としました。
推理要素:選択肢を選ぶシンプルなシステムで、決定的な推理はキャラクター側が導いてくれるため歯ごたえ自体は控えめです。ただ、結末にはしっかりとした意外性があり、「真相はどうなっているのか?」と考察しながら読み進める楽しさは十分にあったため「3」としました。
遊びやすさ:スキップ機能に加えて「次の選択肢に進む」「前の選択肢に戻る」といった快適な機能がしっかり備わっています。マルチエンディング回収のストレスが少なく、選択肢を選び直しやすい親切な設計だったため「5」としました。
コストパフォーマンス:クリアまで約10時間で、通常価格は3,400円。ビジュアルやフルボイス、シナリオの完成度を考えれば納得できる部分もありますが、プレイボリュームを重視する方には少し割高に感じられるかもしれません。今回はボリュームと価格のバランスを考慮して『2』としました。
おすすめ度:美麗なビジュアルと贅沢なフルボイス、魅力的なキャラクターに加え、死をテーマにしつつもコミカルな要素を交えて伝えたいものがはっきり届く物語でした。非常に印象深く満足感の高い作品ではあるものの価格の高さだけネックなため「4」としました。
⚠️ここから先は『久我山栞の死様手帖』の攻略やエンディング・真相に関する重大なネタバレが含まれます!未プレイの方は絶対にブラウザバックしてください!⚠️
【ネタバレ有】
主人公の正体に驚愕!序盤から仕込まれていた伏線
本作をプレイしていて一番驚いたのは、主人公の正体です。勝手に「男子高校生か大学生くらいだろう」という先入観を持ってしまっていたため、終盤まで主人公が「栞の妹」であることに全く気づけませんでした。

言われてみれば、手帳のメモの所々に「ビックリした」といった少し幼い子のような素直な感想が書かれており、ヒントは散りばめられていました。何より後から振り返ってハッとさせられたのが、カシマレイコがわざわざしゃがんで話しかけてくれていたシーンです。あれは「小さな子どもと目線を合わせるため」だったのかと気づき、その巧みな言及の仕方と伏線に唸らされました。

また主人公自身も、恐ろしい都市伝説に果敢に飛び込んでいく姿勢を見せたり、急に「アリクイの威嚇ポーズ」をとったりと、かなり変わった感性のキャラクターだったとはずっと感じていました。

ギャップがたまらない!個性豊かな幽霊たち
登場人物たちの見事なギャップも本作の大きな魅力です。
個人的にギャル子さんがとても好きだったのですが、何かありそうとは思わされつつではあったものの、まさかあそこまで腹黒キャラだとは思いもしませんでした。

また、司書さんは自分で「倫理的」と言っていたのが何かの裏返しのフラグかと思いきや、最後まで立派な大人な女性でした。 地縛霊になってしまった理由も切なかったですがしっかり区切りがついたようでよかったです。

カシマレイコは、ツンツンしているのに実は「教えたがり」というギャップが最高でした。「危険だから内容は言わない」と渋りながらも結局全部喋ってしまい、我に返って照れる姿には不思議な可愛さがありました。

都市伝説とユーモアが光る、絶妙なオカルトエンターテインメント
本作は、タイトルの『死様手帖』の名に恥じない様々なバリエーションの「死に様」を見せてくれます。本来なら重く暗くなるはずの「死」を扱っているにもかかわらず、プレイ体験としては非常に面白く引き込まれるという、不思議な感覚を味わえるゲームでした。

カシマレイコとのオカルト談義をはじめ、定番の都市伝説であるメリーさんがハサミを持って現れたり、この手のゲームにはお約束ともいえるUFOによるアブダクションエンドが用意されていたりと、バリエーションが豊かです。ホラーとしてのしっかりとした「怖さ」がありつつも、思わず笑ってしまうような「面白さ」も内包しており、都市伝説の様々な側面を楽しめる名作でした。

現代におけるメリーさんの怖さが薄まってしまって、可愛くなったメリーさんが個人的にツボでした。一番好きなシーンと言っても過言ではなかったです。

まとめ
「成仏するために死を繰り返す」というショッキングなテーマでありながら、個性豊かでどこか憎めないキャラクターたちとのコミカルなやり取りのおかげで、決して重くなりすぎず最後まで一気に読み進められる良作です。美麗なビジュアルと贅沢なフルボイスが物語への没入感を高め、終盤で明かされる主人公の正体や見事な伏線回収には思わずハッとさせられます。
約10時間というプレイボリュームに対して価格がやや強気な点はネックですが、プレイ後に残る深い余韻と「遊んでよかった」と思えるストーリー全体の完成度は、間違いなく価格以上の満足感を与えてくれます。
オカルトや都市伝説が好きで、予想を裏切る展開や上質なミステリーアドベンチャーをじっくり味わいたい方は、ぜひ栞と共に「死様」を巡る謎解きに挑んでみてください。
👇 個人的ににおすすめできるミステリーゲームをまとめた記事を書きました!ぜひみて見てください!

ちなみに、まとめ記事の中でも直近で個人的に一番ヒットだったのが『魔法少女ノ魔女裁判』です!
Steamで「圧倒的に好評」を獲得した超濃厚なデスゲーム×ミステリーなので、絶望的な展開や考察が好きな方はぜひチェックしてみてください。
